大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大分地方裁判所 昭和58年(わ)682号 判決

裁判所書記官

油布勝治

本店所在地

大分県佐伯市一〇一九八番地の八

有限会社モナミ会館

(右代表者代表取締役内田稔)

本籍

大分県佐伯市中村東町一、五七六番地の二

住居

同県同市同町五番一三号

会社役員

内田稔

明治四四年一月三日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官谷垣竹夫出席のうえ、審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社有限会社モナミ会館を罰金七〇〇万円に、被告人内田稔を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人内田稔に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社モナミ会館は、大分県佐伯市一〇一九八番地の八に本店を置き遊戯場(パチンコ店)経営を営業目的とするもの、被告人内田稔は、被告会社の代表取締役としてその業務を統括しているものであるが、被告人内田稔は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を正規の帳簿に記載しないで除外し、これによつて得た資金を簿外の普通預金及び定期預金に預け入れるなどの不正手段により所得の一部を秘匿した上、昭和五六年八月一日から昭和五七年七月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が一億二、五六九万七、七五三円でこれに対する法人税額が五、一七〇万七、三〇〇円であるにもかかわらず、昭和五七年九月三〇日、同県同市松ケ鼻三、二七六番の三所在の所轄佐伯税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、五一一万六一円でこれに対する法人税額が二、二〇六万七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の方法により、被告会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額二、九六四万六、六〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人内田稔の当公判廷における供述及び第一回公判調書中の被告人の供述記載部分

一  被告人内田稔の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(但し、昭和五九年四月五日付及び同月七日付を除く)

一  内田武人の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(但し、昭和五八年三月二日付を除く)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、各査察官調査事績書

一  株式会社西日本相互銀行佐伯支店支店長出水正昭、同銀行大分支店支店長竹森満國、被告会社監査役内田亀代次作成の各証明書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  登記官認証の登記簿謄本

一  押収してある法人税決議書一冊(昭和五九年押第二〇号符号1)

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一五九条、一六四条一項

被告人につき

法人税法一五九条(懲役刑選択)、刑法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 東尾龍一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例